「Employee Value Proposition」とは、従業員が事業に提供するスキルや経験と引き換えに得られる利益を指します。このEmployee Value Propositionを策定する過程で、企業の価値観や方針をより明確に定義する機会が得られるかもしれません。Employee Value Propositionによって、人々が自社で大きなモチベーションと誇りをもって働くための理由が提示されます。信頼感と刺激に満ちたEmployee Value Propositionを提供できる企業は、この点で際立ちやすいでしょう。こうして、高い実績を持ち、優秀な人材を企業に採用できる可能性が高まります。
成功する従業員バリュープロポジションを構築するためには、企業は自社の潜在的および現職の従業員が抱く認識や期待を正確に把握する必要があります。たとえば、有能な人材候補が現在の仕事に満足していないのはどのような理由からでしょうか。自社では彼らに何を約束できるでしょうか。自社の企業文化のどんな特徴が魅力的な職場としての要素となるのでしょうか。これらすべての疑問に対して適切な答えを見出した企業が、EVP(従業員バリュープロポジション)の面でいかに成功しているかは明白です。
従業員バリュープロポジションは主に、コスト要素の削減や採用プロセスの最適化、そして潜在的な人材流出の防止に活用されます。従業員バリュープロポジションは、企業に貢献する成果や有益な仕事を評価・報酬する仕組みです。従業員に対するあらゆる権利、報酬、特典などが、特にこのEVPの中で詳細に記されています。ある意味では、潜在的な従業員に向けてマーケットされる「価値提案」として捉えるべきでしょう。このプロセスにおいて、企業は求職者をターゲット層の中心に据え、自社で働いてもらうよう説得を図ります。
成功した従業員バリュープロポジションの例を見ると、才能ある人材を惹きつけ、組織を活性化するうえで必要となる職場環境が包括的に整備されている場合が多いことがわかります。特に有益な要素と、絶対的に平等かつ公正な報酬の保証を組み合わせることは、将来の従業員に大きな影響を与え得ます。この点で、企業を特別で魅力的な存在にするのは企業文化であることを忘れてはなりません。
従業員バリュープロポジションは、多様性と包括性の双方において信頼感を与えるものであるべきです。一方で、人種や年齢、性的指向を問わず尊重する姿勢も、この提案の一部として企業の立場上不可欠です。一方、従業員バリュープロポジションとEmployer Brandが混同されることもありますが、両者には実際に明確な違いがあります。では、上記の基準に照らし合わせて、世界中の成功した従業員バリュープロポジションの例を見ていきましょう。
成功するEVPを構築することは、最も優秀で献身的な人材を招き入れるための一部です。世界中の多くの企業が、この従業員バリュープロポジションのおかげで、こうしたタイプの人材と同じ土俵で出会えるようになりつつあります。